2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

神さえ一瞥もくれない存在

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「接続された女」を読む。 うーん、傑作だと思う。凄い。なんの感情移入もない小説。出てくる人間は、クズばかり。しかし、この短編を最後まで読んで来て、なぜか、そしていつの間にかこの小説のヒロインである“怪物”P…

ウェイクフィールド

タナダユキ監督の『俺たちに明日はないッス』が無事、0号をむかえた。時間がかかった作品だったが、ちょっとホッとする。この作品を企画した当時は、ある種、青春の一時期に対するノスタルジックな感情が残る映画になりそうな気がしていたのだけれど、出来上…

幼い哲学

石井桃子さんが亡くなってしまった…。 出がけ、不意に『幼ものがたり』を読もうかと思い、鞄に入れたのだ。昼間ネットで検索すると、4月2日に101歳でお亡くなりになったという記事が出て来た。悲しい。子供の頃から、石井さんの本を読んで育ってきたと言って…

うんざりするまで踊らされるのだ。

こんなことなら、もういい、と思わせるようなことがある。 思い立って、リチャード・パワーズを再読中。 柴田元幸さんらがお書きになった『パワーズ・ブック』に目を通してから、『舞踏会へ向かう三人の農夫』。 「写真に付されたキャプションが、ひとつの記…

ソルジャー・イン・ザ・レイン

『ギリシア変身物語集 メタモルフォーシス』を読む。 紀元後2〜3世紀頃にアントーニーヌス・リーベラーリスによって採取された41篇の変身物語。 「…人間の情熱や欲望が、絶対者としての神に否定されることなく、その情熱にふさわしい動物や物体に変形するま…

『膚(はだえ)の下』読了。

ついに『膚(はだえ)の下』読了。 面白かった。読むのが面白くて、飯を食べる時も寝る時も、時間がある限りずっと読んでいた。別のやり方、別のあり方の模索をめぐる教養小説。“創造”することについての思索の小説でもある。 「人工物を作るということ、な…

まだ『膚(はだえ)の下』。

バタバタと4月に突入し、日々が過ぎる。 奥原浩志監督とは秘策の打ち合わせを、深夜のファミレスで。いつも事務所のある渋谷で打ち合わせをしていたのだが、お互い家が近いのだから、夜、2軒の中間くらいで会えばいいんじゃないかということになったのだ。…