ウェイクフィールド

hogodou2008-04-21

タナダユキ監督の『俺たちに明日はないッス』が無事、0号をむかえた。時間がかかった作品だったが、ちょっとホッとする。この作品を企画した当時は、ある種、青春の一時期に対するノスタルジックな感情が残る映画になりそうな気がしていたのだけれど、出来上がったら、若いキャストたちの今の息づかいを直に反映した現在形の作品に仕上がっていった…。
終って、タナダ監督、脚本の向井くん、山崎裕キャメラマン、音響の菊池さんをはじめ、今日来てくれたスタッフたちと内輪の乾杯。よかったよかった。
昨日からうちのビデオは、デニス・ホッパー監督『ラストムービー』が流れっぱなし。この美しい、狂った作品が、とても好きだ。もう一度スクリーンで見たい。誰か見せて下さい。ドキュメンタリー『アメリカン・ドリーマー』も一緒にお願いします。
カサヴェテスが、どこかのインタビューに答えて、こんなことを言っていた。監督は、インタビュアーのようなものだ、と。いい答えを引き出すために、幾つも質問をする。そして、面白い答えが帰って来たら、じっと聞き手に徹するのだ、と。
アメリカン・ニューシネマもヌーヴェルヴァーグも持たなかった僕らに映画は、低予算の映画は可能なのだろうか? 現時点の答えはNoだ。僕らは低予算の映画を作るノウハウを持っていない。低予算の映画は、大規模な予算の映画の縮小版ではない。しかし、絶えずそうなってしまっている…。
帰りのタクシーの中で、昨年ご一緒した3本の映画を、菊池さんと少しだけ回想。『16[jyu-roku]』『砂の影』『俺たちに明日はないッス』。音に関して言えば、そのどれもが、少しずつ影響関係にあり、面白い。
久しぶりにトマス・ピンチョンを読んでいる。柴田元幸さんの評論『アメリカン・ナルシス』も面白い。ずっとホーソンの短編小説『ウェイクフィールド』が引っかかっている。なぜこの小さな小説が、ずっと引っかかっているのかは分からない。