ソルジャー・イン・ザ・レイン

hogodou2008-04-10

ギリシア変身物語集 メタモルフォーシス』を読む。
紀元後2〜3世紀頃にアントーニーヌス・リーベラーリスによって採取された41篇の変身物語。
「…人間の情熱や欲望が、絶対者としての神に否定されることなく、その情熱にふさわしい動物や物体に変形するまで、続いてゆくのである」
昨日は、安里麻里監督と打ち合わせ。アルドリッチ監督の『カリフォルニア・ドールス』をめぐって、新作のことをあれこれ。今日は日向朝子監督といろいろ打ち合わせのはずが、意図せず野球の話で盛り上がる。そういえば、昔何かのインタビューでジム・ジャームッシュ監督が、映画を撮るには野球のことを知ることも大事なんだよ、とか言ってたっけ。日向監督は、野球好きらしい。好きなだけでなく、少女時代はリトルリーグに入ったり、ソフトボールクラブに入っていたりと自分でも随分やっていたらしい。こちらも野球映画は、ちょっと好きだ。炭坑と野球には、泣かされてしまうことが多い。バリー・レビンソン監督、ロバート・レッドフォード主演の『ナチュラル』もけれん味たっぷりで嫌いじゃない。ラストでは、思わずキュンとして泣いてしまった。随分見てないけど。全米女子プロ野球リーグを描いたペニー・マーシャル監督の『プリティ・リーグ』もたまたま衛星放送で見始めただけなのに、最後にはやっぱり泣かされてしまった。日向監督とある時期のアメリカ映画に描かれている「別れ難さ」について喋る。『膚(はだえ)の下』にも「別れ難さ」が描かれていた。「別れ難さ」を成立させる諸条件について、あれこれ。彼女のソフトボールクラブ時代の話が面白い。口答えの多い少女たち。または、絶対的な他者について。階級について…。「別れ難さ」には、双方が双方にとって、あらゆる意味で絶対的な他者であることが必要なのではないか、などなど。ジョン・セイルズ監督の『ブラザー・フロム・アナザープラネット』や『ベイビー・イッツ・ユー』の話をする。
不意に、渋谷毅さんが「ソルジャー・イン・ザ・レイン」 って曲を弾いていたな、と思う。ヘンリー・マンシーニの曲だ。今日も雨。『膚(はだえ)の下』の終わりは、こうだ。
「雨はすべても生き物の上に等しく降り注いで、だれを差別することもなかった。雨は優しかった」