浦岡さん

hogodou2008-11-25

浦岡敬一さんが逝ってしまった。
覚悟していた事とはいえ、悲しい。
浦岡さんは、数多くの映画の編集を手がけ、17歳で初めてお会いして以来、多くの事を教えてくれた人だ。
浦岡さんは、祖母の関係の親戚だったのだ。
小林正樹監督『東京裁判』、今村昌平監督『復讐するは我にあり』、それから『愛のコリーダ』『儀式』をはじめとする大島渚監督の数々の作品…。
そう言えば、かつて浦岡さんに、これまでのどの作品が自分では気に入っているのか、と聞いた事があった。
その時の答えは、大島渚監督の『東京戦争戦後秘話』であった。
これまで組んだ映画音楽の作曲家で一番肌合いがあう作曲家は?という問いには、即座に武満徹という答えが返って来た。
自分も下田の出身で、武満さんの水の流れを感じさせる音楽が、自分の編集と肌合いがあうとおっしゃっていた。
もちろん大島監督の作品でも浦岡さんと武満さんは組んでいるのだが、中村登監督の『紀ノ川』、篠田正浩監督『乾いた湖』なども浦岡、武満コンビの作品だ。
それからなんといってもTV作品だが実相寺昭雄監督、倉本聰脚本の「波の盆」。
この作品の編集について、ご飯をご馳走になりながら、何度もお話を伺った…。
作品も傑作だと思うが、音楽も素晴らしい…思い出深い作品だ。
そして、鈴木卓爾組の準備は続く。
キャストも決まり、今日は主人公ハルの下宿のロケハン。
根津の小高い場所にある共同玄関のアパートをお借りすることになる。
その入り口に小さな祠があり、お稲荷さんが鎮座している。
ロケハンが終って、午後からは原作者浅生ハルミンさんによる猫ストーカー指南である。
ハルミンさんの粘り強く一匹の猫をストーカーする姿に、ちょっと感動する。
そして思ったよりアクティヴに猫に関わろうとされる。
そうだよな、そうなんだよな、と助監督Mと納得する。
原作者であると同時に、まるでスタッフのように映画に関わっていただくことになって、ちょっと恐縮する。
昼間はあんなに晴れていたのに、夜になって雨。
これから「波の盆」を聞きながら、眠ろうと思う。