勢いだけで描いた“線”のような…。

hogodou2008-09-21

山崎裕組が終わり、クランクイン直前に見た市川準監督の『buy a suit スーツを買う』のことを書こうと、ずっと思っていました。
なのに、19日未明に市川さんは急ぎ足で逝ってしまわれました。
18日は、この作品の本編集があって、それを終った後、深夜亡くなったのです。
『buy a suit スーツを買う』は、市川さんのプライヴェートフィルムです。
俳優は一人も出演していません。
登場人物はみんな、市川さんの仕事仲間の方達が、お芝居をしています。
市川さんと、助監督の末永さんが、小さなHDのカメラを回しました。
ある日、ご連絡をいただき、作品をDVDで拝見しました。
朝、バタバタと作品を見始めたのに、ラストシーンでは切なくて泣いてしまった…。
とても、よい作品でした。
どうして、こんなに自分がこの小さな作品にこだわるのか不思議な気持ちがしたのですが、この映画が大好きになってしまったのです。
それで、来年のユーロスペースでの公開を決めて、市川さんと市川準事務所の木下さんと打ち合わせをしたのが8月の終わり。

勢いだけで描いた“線”のような
「素描」「スケッチ」的なライブ感がある

と市川さんから来たメールには、この作品のことが書いてあります。

東京国際映画祭のためにチラシとポスターを作る打ち合わせをした時、市川さんは「こんなのを描いてみたんだけど」と、ちょっと照れながら自筆の線画を見せてくれました。
そこには、『buy a suit スーツを買う』に登場する3人の登場人物が描かれていました。
もし、ポスターやチラシをご覧になることがあったら、そこに印刷されているイラストは、市川さんがご自分で描かれたものです。

『buy a suit スーツを買う』の本編集を終えた時、市川さんはすごく嬉しそうにされていたそうです。