事物に対する尊敬。

hogodou2008-09-14

山崎裕組は、10日無事クランクアップ。
ご協力をいただいた皆さん、ありがとうございました!
クランクアップは、母の実家から帰るヒロイン・ヒロコが、高校の同級生たちに出会ってしまうシーン。出演はヒロコを演じている渡辺真起子さんのほか、戸田昌宏さん、大森立嗣さん、玄覺悠子さん。山崎さんは、今回一度たりとて三脚にカメラをのせなかった。全編、手持ちである。恐るべし68歳。
静岡での撮影を終えて、その日のうちに東京へ戻る。
戸田さん、大森さん、玄覺さん、そして、妹ミナを演じた安藤サクラさんと、クランクアップを祝って泥鰌を食べる。
皆、泥鰌は初めて。美味しい。清順師の指南で、泥鰌を食べたことを思い出す。
12日は、撮影部と録音部で実景撮り。
その夜は、打ち上げ。3時ぐらいまで、皆で痛飲。
マッキー、本当にお疲れさま!

「忘れもしませんけれど、ぼくが大庭秀雄さんの助監督をずっとやっていまして、その時のチーフ助監督が監督になることになって、ぼくはそこに行くことになった時に「大庭さん、どうでしょうね。彼はいい映画が撮れますかねぇ」って言ったら、「大島君、彼はね、家に来て、玄関を開けて、玄関の挨拶もできないような男なんだよ。そんな男にいい映画が撮れるわけないだろう」って言うわけです。確かに映画の撮り方というものには、礼儀正しさ、つまり一軒の家へ入ってどうするかみたいなとこがある。だから引けるも引けないも、そういう礼儀みたいなとこがあると思います。…だから、才能はあっても礼儀正しくない撮り方というのはありますよ。やっぱり世界の大監督の撮り方は、全部礼儀正しい。ひとつの人物、あるいは事物に対する尊敬の念みたいなものが出てるかどうか。事物を尊敬しない奴は駄目だと思います。そういう意味では、日本ではやまり松竹大船というのは礼儀正しい撮影所でした。一方では、監督を「先生」と呼んではいけない。みんな「さん」で呼べ。つまり仕事の上では同等なんだ。しかし敬意は尽くせと」

これは、「リュミエール」誌に掲載された大島渚監督の発言。インタビュアーは、蓮實重彦さん。この大島監督の発言は、とても単純だけど重要だと思う。とてもよい、重要なインタビューだ。大島監督は、同じインタビューの中で、こんなことも言っている。
「作品の中の思想なんて大したことない、作品のつくり方に出る思想が大事なんだ」