映画の神さまがいる。

hogodou2008-09-08

体は正直だ。
夜になって雨が降る。その直前に疲れ切った首が痛み出して、雨が降ると教えてくれる…。
9月1日から、現場に入っている。撮影は10日間。今日で8日目。あと2日でクランクアップである。入った当初は、一日が長く、朝撮ったシーンが、まるで3日前に撮ったシーンのように感じられていたのだが、撮影も終盤に入ると早い早い、あっという間に、もうクランアップが近づいていてくる。
クランクインしたのは山崎裕組。監督は、是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』から『歩いても 歩いても』もまでの撮影を担当し、これから公開になるタナダユキ監督『俺たちに明日はないッス』でもご一緒した名キャメラマン山崎裕さん。68歳にして初監督作品である。
タイトルは『トルソ』。
一体の男の“トルソ”を拠り所に暮らして来た女性とその妹をめぐる話である。
砂の影』を見てくれた山崎さんから、あの映画を見ていたら、かつて大和屋竺さんと考えたプロットが思い出されて、それをもとに監督してみたい、と誘われたのである。
砂の影』が、そんな契機になったのならば、こんなに嬉しいことはない。
佐藤有記さんにも脚本に参加してもらい、怒濤のように撮影になだれ込んだのである。
出演は、ヒロインのヒロコに河瀬直美監督『殯の森』、小林政広監督『愛の予感』の渡辺真起子さん、妹に『俺たちに明日はないッス』にも出演してもらった安藤サクラさん。ほかに、中村優子さん、葉子さん、山田キヌヲさん、野嵜好美さん、玄覺悠子さん、岡部尚さん、戸田昌宏さん、ARATAさん、石橋蓮司さん、山口美也子さん。『ゲルマニウムの夜』の監督でもある大森立嗣さんも出る。
音楽は赤犬のアキラくん。
山崎さんによる女性礼賛である。
手持ちで長いワンカットになった時、山崎さんのカメラは独特のダイナミズムを孕んで素晴らしい。
そして、ラッシュを見ると、思っていたよりも光が優しい。
さまざまな事件はありながらも、天気に恵まれ、この組にはきっと映画の神様がついていてくれていると思う。
主演女優は、私は晴れ女だから、と胸を張り、監督は、オレは悪運が強い、と胸を張る。
どっちでもいいです。神様がいてくれることだけは間違いない。
映画を作っていると感覚が開かれているのか、そんな時間もないのにあれもこれもと本が読みたくなる。
そうじゃなくても、読みたいのでしょう、と笑われるのだが。
グスタフ・ルネ・ホッケの『文学におけるマニエスリム』を持って歩く。