ぼくはあの庭が好きだった。

hogodou2008-08-24

怒濤の一週間。
待望の企画…某プロダクションにて、原作のオプション契約を結ぶ話をさせていただく。そこに御大登場。子供の頃から読んでいた方だけに、ちょっと舞い上がる。一歩前進。すごく嬉しい。監督のSと共同プロデューサーのSと、長い時間をかけて題材について話し合う。
別の企画。原作者の方とお会いする。数時間、猫の話。古本の話。静かに盛り上がる。みんなで楽しくやりましょう!
9月にインする作品は、準備の佳境に入る。まず決定稿を脱稿。佐藤さん、お疲れさまでした。決まったと思ったら覆りそうになるキャストをめぐって右往左往。でも、大丈夫。制作部はロケハン。オールスタッフのような美術打ち合わせ。キャストとの顔合わせ、契約書や予算の交渉…などなど。
そうこうしている間に、ジュリアン・テンプル監督の『NO FUTURE』が土曜日に公開となる。シネセゾン渋谷のレイトショー。傑作です。“最悪の伝説”セックス・ピストルズをめぐる関係者、メンバーたちの証言も興味深いが、シニカルな笑いを産むジュリアン・テンプル監督の縦横無尽な映像コラージュ・センスが面白い傑作です。10月に同じ劇場でレイトショー公開されるドン・レッツ監督(彼はジャマイカ移民)の『THE PUNKROCK MOVIE』と比べると面白い。お時間がある方は是非。
その間に、ふらりと寄った本屋で、高山宏さんの『アリス狩り』の新版が出ているのを手にする。読んだ事なかった。ついでに気になっていた『超人 高山宏のつくりかた』も買う。“学魔”高山宏さんの遍歴が自身によって語られるエッセイ。まずは、これから読む。
「知の“冥府魔道”」をで、まるで曼荼羅を紡ぎださんとするかのような高山さんの仕事に酔っぱらいつつ、ちょっと泣かされてしまう。父親が作った「ぼくはあの庭が好きだった。」と書く高山さんは、自宅のコンクリートのベランダに大量のプランターを置き、土を作り、「…うっすら糞の臭いの混った濃い土の臭いに包まれ…怒濤のごとく深いレム睡眠に陥っていくのである」。大学改革にもみくちゃにされても平気だったのは、「女たちの愛、子供たちへの責任の他に、むろん純粋な知識への渇望あればこそだが、その全部を黒土の臭いがゆったり覆っていてくれればこそだった」。
高山さんの本を読んでいると、すごく本が読みたくなる。
高橋康也さんの『エクスタシーの系譜』、プラーツの『官能の庭』、ホッケの『文学におけるマニエスリム』、サイファーの『文学とテクノロジー』…。
なんだかよく分からないのだが、すごく勇気づけられる本。