その未完成性によって永遠に終ることのない物語

hogodou2008-07-15

なんかもの凄く疲れる。
無神経な物言いに、訳もなく腹が立つ。
多分、疲れすぎているのだ。
建設的でない無為な会議も、もうたくさんだと思う。
どこにいっても、何をしてもこんなもんなんだろうけど…。
さてさて、昨日は夜になって助監督Kが訪ねてくれて、小林聖太郎監督とコーヒーで遅くまで話し込む。Kは、フェリーニの『8 1/2』を見て来たのだ言う。
9月にインする某監督作品に尊敬する俳優I氏の参戦が決定! 自分で声をかけておきながら、驚く。ちょっと嬉しい。監督と喜びを分かち合い、打ち合わせをする。ロベール・ブレッソンヌーヴォー・ロマン…そんな言葉がカフェの店内を飛び交う打ち合わせである。楽しくなると思う。スタッフ編成とキャストが、ほぼ固まる…。
しかし、暑い。一日が終わるとヘロヘロである。
慎重に慎重をかさねて進行中の企画に、朗報ともいうべき電話あり。まずは第一関門突破といったところか。まだまだ予断は許さない。すんなり立ち上がるとは思っていない。しかし、気持ちが沸き立つ。少なくとも進んだ…ということだ。一歩ずつでも前進している。大切に育てなければいけない。
その電話を受けて、共同PであるSと、今日は具体的な打ち合わせをする。現実的な予算について、そして出資を募るための作戦会議、内容に関しての意見交換…キャストのことも二人で考える。あーでもない、こーでもないとい言った上で、本当にやってくれたらピカイチというアイディアがでる。ま、言うだけはタダだから。声をかけるのもタダだから。成立したら凄いと思う。
タナダユキ監督の『俺たちに明日はないッス』予告編の本編集をする。絵のつながりは申し分ない。最後の最後にテロップまわりを微調整する。
こうの史代さんの『この世界の片隅に』の中巻が刊行される。やはり傑作である。下巻が待ち遠しい。担当編集者であるS氏に電話。S氏とは『この世界の片隅に』が出る度に電話をしている。『俺たちに明日はないッス』の担当編集者であるI氏もそうなのだが、とても優秀な編集者なのだと思う。今慎重に進行させている企画にも多大なインスピレーションを与えてくれる作品だ。凄い。
『音の海』をポツポツ読みながら、ユズキカズさんのマンガ『枇杷の樹の下で』と『水街』を再読。縁側、少女、繁茂する庭…。そんな気分で歩いているとミュージシャンの蓮実重臣氏とばったり会う。久しぶりにゆっくり話をする。
再読した鈴木翁二さんの『こくう物語』が、やっぱり凄くて、ずっと引きずってしまっている。第16章が、それまでの時間の流れを断ち切って突然江戸末期から1970年代にとび、第17章でまたそれ以前の時制に戻る…。しかし、第17章は、その未完成性によって永遠に終ることのない物語として第1章に戻ろうと読者を誘う。こうして『こくう物語』は、循環することによって、終らない時間を刻み始める物語として、完結する。“あの時”から、今は遠く隔たっているのに、“あの時”はまだ今とは別にまだ循環しながら続いているかのようだ。『こくう物語』という本の中で。これは奇跡のようなマンガだと思う。
BRAINZも今日で最終回。みんな、ありがとう。いつかまたお会いしましょう。
夜中、ペルコレージの『スターバト・マーテル』を聞く。