ぼくらの作品は、無事離陸を果たすだろうか…。

hogodou2008-07-08

なんだかね…。
もう弊害しか見えてこない。
さてさて、鈴木卓爾さんと打ち合わせ第2弾。
13時過ぎに始った打ち合わせは、19時まで続く。しかし、これが面白い。原作の検討にはじまり、黒沢清監督の『アカルイミライ』の分析から別役実の傑作戯曲『ジョバンニの父への旅』の分析を経て、大まかな映画の流れを作る事へと収束して行くスリリングな打ち合わせである。
いつも卓爾さんとは、そうなのだが、こうやっていると見えてくるものがあるから面白いのである。
最後はDVDで袋井高校美術部時代の8mmアニメーション作品『街頭奇想の夜』を見せていただく。
これが傑作なのである。なんともいい。
少年のリリシズムと幻視という点においては、まるで鈴木翁二である。この作品を見た山崎幹夫さんが、やはり「鈴木翁二」と評したそうである。このところずっと鈴木翁二作品を読んでいたのは、ただの偶然なのだが、まんざら偶然でもなく思えてくる。この頃、卓爾さんは『ガロ』を読んでいないという。この作品に影響を与えたのは、大友克洋大林宣彦監督の『時をかける少女』…スチールをまるでアニメーションのように重ねていき街と時間を駆け抜けて行くシーンがあるのだが…だということだ。しかし、作品は、大友克洋と言うよりも、『時をかける少女』というよりも鈴木卓爾少年(当時)の幻視にある。
炬燵でコンテを描き始め、自分の周囲の風景をスケッチして絵を描き、そして写真部の暗室を占拠して夜遅くまで撮影し、授業中は当日の制作部分のことしか夢想していなかった…という。
でも、このリリシズムにはYMO、とりわけ細野晴臣の作り出す音の感触が影響しているのではないかと、二人で話す。当時、“懐かしい未来”なんてキャッチフレーズもあったな。
卓爾さんもそうだと言っていたが、今でも細野さんの『パラダイスビュー』や別役実が脚本を書いたアニメーションの『銀河鉄道の夜』のサウンドトラックをたびたび聞き返す。そう言えば、先日の打ち合わせの時は、卓爾さんが持参した原マスミがラジカセでかかりっぱなしだった…。
なんか『街頭奇想の夜』を作ったときのように作品を作りたいね。
ぼくらの作品は、無事離陸を果たすだろうか…。
昨日は久しぶりに電話で大友良英さんと話す。
それから9月にインする某監督作品の打ち合わせを深夜まで。
帰って、貸本漫画時代のつげ義春さんの傑作『忍者秘帳』の上巻を読む。これを描いたのは23歳。凄い凄い。
本屋でデイヴィッド・トゥープの『音の海』を買う。