犬たち

hogodou2008-05-31

廣木隆一監督の緊縛師とモデルの関係を描いたドキュメンタリー作品『縛師』の公開が、今日から渋谷ユーロスペースで始る。天気も悪く、入りを心配していたが、多くのお客さんが駆けつけてくれて、ほっとする。皆さん、ありがとうございました。しかも若いお客さん、若いカップルが多いのには、ちょっと驚いた…。上映後に、廣木隆一監督、モデルのさやかさん、すみれさん、それに雪村春樹さんにいらしていただいてトークショー。これが、とても面白かった。雪村さん、曰く、“緊縛”は、例えば幼い頃に女の子の手に触れて、その体温や肌にドキッとした体験、それに近い、と。緊縛師は、モデルを後ろから縛り、基本的に顔を見ることなく(想像することもしないとおっしゃる)、縄とそのモデルに触れている部分、埋もれている部分から、その反応を彼女の望むものを読み取っていく、と。
これは俗に言うSとかMとかいう世界ではない。緊縛師という男性とモデルの女性との開かれた関係の世界である。雪村さんの話を聞く、お客さんの顔が幸福そうになっていく。その幸福とは、愛する異性に触れた時の、喜びの表情なのだ。みんな。男の人は少年のように、女の人は少女のように綻んでいくのが分かる。
こりゃ、すげーや、と思う。打ち上げでも雪村さんの話を聞きながら、これは映画を撮ること、カメラを対象に向けることととても似ているな、と考える。お時間があったら是非ご覧になって下さい。ちなみに雪村さんと有末さんにパンフレットも“縛って”いただきました。こちらは限定数。
昨日は…久しぶりにクドリャフカのことを考える…。宇宙開発の実験の犠牲になった犬たちのことである。
赤犬のアキラくんと『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の話をしたからかもしれない。いろいろと調べていたら、古川日出男さんの小説『ベルカ、吠えないのか?』に行き当たる。戦争の世紀=20世紀を犬たちと共に駆け抜ける小説とのこと。読んでみようと、思い、雨の中を書店に走る。ある時期まで、古川さんの作品は読んでいたのだが、最近はちょっとご無沙汰していた。本屋で文庫になったばかりの『ベルカ、吠えないのか?』と『ロックンロール七部作』を買う。
『ジャングル・クルーズにうってつけの日』を読み続けている。
『ディスパッチズ』も手許に届くことになっている。