ハート・オブ・ダークネス

hogodou2008-05-26

もはや末期的だ…。
ものすごく眠い。それが、一日中眠い。逃避だとしか思えないほど眠いのだ。といっても、眠っている訳にはいかないので仕事をする。
急な動きに戸惑いつつも、日向朝子監督との企画について、あれこれと考える。水曜日には会議があるのだ。深夜には、ファミレスで奥原浩志監督と秘策(でもなんでもないのだが)をめぐってあれやこれやと打ち合わせである。まだ僕らは踊っている最中なのだろう。最期まで眠る訳にはいかない…。
ふらっと赤犬のアキラくんが事務所に寄ってくれる。アキラくんは、いい奴だ。ほんとにいい奴とは、彼のことを言うのだろう。才能もある。文章も面白い。随分久しぶりに会ったのだが、長い間話し込む。音楽のこと。映画のこと。彼の現在などなど。彼にはずっと映画音楽をやって欲しいと思う。アキラくんが今練習している楽器がものになるまで、あと5年かかると言う。その楽器で作り出す音楽が聞きたいと、ずっと楽しみにしている。
昨日は、『ハート・オブ・ダークネス』をビデオで見返す。
地獄の黙示録』の撮影時に、コッポラの奥さんであるエレノア・コッポラが撮影してたメイキングのフッテージをもとにしたドキュメンタリー。200日以上に及んだ撮影の記録である。見終わって、確かにしんどい現場なのだが、今回はある種の幸福も感じる。ここまで1本の映画を創ることに耽溺することができるのは、もはや幸福としかいいようがないじゃないか、と思う。
アキラくんは、『ホテル・ニューハンプシャー』のような映画の音楽をやりたい、と言う。
ホテル・ニューハンプシャー』は、いい映画だったし、いい小説だった。カート・ヴォネガットの遺作である『国のない男』が面白かった、と言う。ヴォネガットは、60年代後半のアメリカの若者たちに圧倒な影響力を持った作家だと言われている。ジョン・アーヴィングは、もろこの世代なのだろう。65年には、ヴォネガットアイオワ大学でヴォネガットに師事している。
年表によれば、アメリカ軍の北爆がはじまったのが、1965年の2月。戦争は泥沼化し、73年のパリ協定を経て、同じ年の3月にはアメリカ軍の完全撤退が完了する。ティム・オブライエンは、73年にヴェトナム戦争での体験を小説『ぼくが戦場で死んだら』として発表し、78年には『カチアートを追跡して』を発表…。
今、この時代の、またはこの時代を経た映画や小説が、とても気になっている。
これから生井英考さんの『ジャングル・クルーズにうってつけの日』を読む。