黄砂が舞う。

hogodou2008-02-24

春一番。黄砂が舞う。
バタバタと日々が過ぎる。
タナダユキ組は、新作のダビング。菊池信之さんの音作りに舌を巻く。冒頭で海の音が広がると、作品が豊かに膨らんでいくのを感じる。そして、最後の最後に粘る。粘った甲斐あって、そのシーンを過ぎると、次のシーンの登場人物から感じる感情が全然違う…。編集助手のOが感心することしきり。ダビングとは、こういうことなのだ…。
主題歌の録音もある。というか、この映画には劇伴がないので、音楽はこれ一曲のみ。しかも、主題歌を担当してくれるこのバンドにとっては初のカバーとなる。邪魔をしてはいけないので録音には立ちあわず、トラックダウンの時に差し入れを持っていく。これが名カバーなので、一同興奮する。映画は、この主題歌に勝っているのか? バンドで一番いい演奏だったとMさんが笑う。いやいや、そんな…。
マッキーが3月の舞台の稽古中なのに、『砂の影』をヨシオカくんと見に来てくれる。
終って食事でもと店に入ると、Sさんが先に飲んでいて乱入される。気がつくと5時…。酔っぱらったマッキーから携帯にメールが何通も届く。「俺ら、朋友、健在、だな」。ほんとに。もうマッキーとも10年以上の付き合い。そこには、たむらさんも、菊池さんも、亡くなった佐藤譲さんもいた…。
週末、『砂の影』のトークイヴェントがある。甲斐田監督、江口さん、ARATAさんとお客さんとのティーチイン。お立ち見。皆さん、ありがとうございました。いっぱいの質問で、短い時間では答えきれない。お客さんが、いい見方をしてくれていて、聞いていてとても嬉しかった。そういうもんだと思う。昔、パトリス・シェロー監督の『傷ついた男』という映画を宣伝したとき、マスコミ試写室の重苦しい空気とは打って変わって、公開を見に来ていれた女の子たちは目を泣きはらして劇場から出て来たのだ。あの時ほど、映画業界ではなくお客さんを信じようと思った事はなかった。それにしても、お客さんがユキエが消えていく先を「砂丘」ではなく「砂漠」と口々に言ってくれるのに驚いた。当然、僕らは「砂漠」として撮っているのだが、「砂漠」という台詞があるわけではないのだ。
終って、みんなで打ち上げ。
江口さんが「撮影の時は暑かったのに、冬になっても会ってるなんて不思議やなぁ」と笑う。
助監督のMも来て、最近の仕事について話しているのだが、言ってる事が、撮影中のたむらさんみたいになっていてちょっとおかしい。
来週は、トークが続く。27日は、HEADZの佐々木敦さんと音響の菊池さんのトーク。29日は、『闇打つ心臓』の長崎俊一監督を迎えてのトーク。長崎監督は、8mm小僧時代の憧れだった…。楽しみ。
砂の影』のユーロスペースでの公開は、29日まで。
お時間のある方は是非ご覧になって下さい。
最近は、高田衛の『江戸幻想文学誌』を再読中。いつ読んでも刺激的。「物語の再生と夢語り」が面白い。「西山物語」の「よみの巻」の下りがいい。建部綾足の「西山物語」と上田秋成の「死首の咲顔」を読む。どちらも源太騒動に取材した物語。