20人に必要なものを売る店

hogodou2007-12-18

年末である。
バタバタしている。というか、バタバタしていない時なんかあるんだろうか? 12/22に初日が2本あるのである。『暗殺・リトビネンコ事件』、それから小林聖太郎監督の『かぞくのひけつ』である。どちらも、渋谷のユーロスペース。したがって、22日は、一日中ユーロスペースにいることになる。宣伝部は、初日への追い込み中。小林監督の顔も見える。かと思うと、2月には公開になる甲斐田祐輔監督の『砂の影』の準備をしている…。もう木曜日みたいです、とTが呟く。まだ火曜日なのだ。
バタバタついでにうかつだったことが、ひとつ。
書肆アクセスが閉店していた…。書肆アクセスは、神田神保町すずらん通りにあった、地方・小出版流通センターのアンテナショップである。実は、先日、アクセスならあるかも、とある本を探しに神保町に行ったのだが、シャッターが降りていて、あれ、定休日でもないのに、と帰って来たばかりなのだ。閉店していたとは思わなかった…。
閉店を知ったのは、実は本だ。書店で、たまたま平積みになっていた『書肆アクセスという本屋があった-神保町すずらん通り1976-2007』(右文書院)を見つけたからだ。驚いて、すぐに買ったのだ。
書肆アクセスの店内には、小さな出版社の、しかし気合いの入った本が所狭しと並んでいた。学生時代から、大型書店には置かれていない本は、ここに来て探し、インターネットなどない時代ゆえ、ここになければ諦めた…。
ショックだ。
書肆アクセスがあるということは、やはり闘いだった思うのだ。

以前からふしぎに思っていたのだが、/ちいさな店が、そこにしかないものを売っていて、/成功して店を拡張すると、/そこではもう、どこの店にもあるものしかなくなってしまう、/ということが、よくある。/バージョンアップの不便さを経験して、/すこしわかってきた。/20人しか欲しがらず、20個つくれば間に合うものは、/2000人を相手にする店には置けない。/2000人に売ることができないからだ。/みんなにひとしく手渡すことができないものは、情報となり得ない。/したがって、存在しないとみなされる。 高橋悠治『音楽の反方法序説

本当にそれが必要な20人にものを売る店でありたいのだ。