いろいろとうまくはいかないものだ。

hogodou2007-12-11

まぁ、いろいろとうまくはいかないものだ。
おまけに、体は一つである。
寝る前に『チェーホフの感じ』を読もうと思っていたのだが、事務所に忘れてきたのに気付く。別に事務所で呼んだ訳でもないのだが…。ちょっと、がっかり。若い頃、チェーホフは嫌いだった。何度読んでも腹が立って来て、途中で文字通りに投げ出してしまっていたのだ。こんなに腹が立つのだから、きっと何かあるのだろうと、たかをくくって20代の半ば、『三人姉妹』を小さな舞台で演出した…。これが、面白かった。何かあるだろうどころではない。やっても、やっても追いつかない。稽古中に、体重が10キロ近く減ってしまった。チェーホフに関わったら、これだけで一生終ってしまう…というのが、当時の感想。それから、チェーホフが好きなのだ。折に触れて、読んでしまう。
「…何故なら、手紙の中でのみ人々は自分の中に隠れているものを発見するものらしいからである。その隠れているものは物語の衣裳をまとい、それをあきらかにするためには、悲しいことかもしれないが、手紙こそが必要かと思われる」
「いいたいことと隠そうとしていることとが両方あらわれていて、隠そうとしているが実はそれをいってしまいたい気持ちもにじみ出ていることが感じられる…」
これも、小島さんの『書簡文学論』の一節。
まるで小島さんの小説のことを書いているようじゃないか、と思った。
『菅野満子の手紙』を、もう一度読もうと思う。