山村浩二さんのこと

hogodou2007-11-16

明日からシネカノン有楽町2丁目で、宣伝部が手がけている山村浩二さんのアニメーション『カフカ田舎医者』が公開される。山村さんのアニメーションとは、もう数年来のお付き合いとなる。
最初は、今は川崎にあるヴィジュアルブック・ショップPROGETTOが、まだ渋谷の道玄坂にあった頃である。店でヤマムラアニメーションが出しているビデオを数本買ったことに始まる。見て、びっくり。凄い。国際映画祭での評価も高い。しかし、なぜこれほどのアニメーションが大手のメーカーから出ていないのだろう? すべてが短編とはいえ、なぜ劇場でかかっていないのだろう、というが率直な疑問だった。
山村さんは、なぜレトロスペクティブをしないのですか? 連絡をとって会うことになり、ご本人に聞くと、帰って来た答えは、「まだ納得できるものが作れていないから…」。
やがて、アメリカのアカデミー賞にノミネートされることになる『頭山』が完成し、ユーロスペースで、それまでのほ代表作を網羅した“ヤマムラアニメーション図鑑”を上映。『年をとった鰐』の上映にも関わらせていただいた。
山村さんは、自分のことを“監督”とは呼ばない。
アニメーション作家であって、監督ではないから。
ほぼ一人で描き上げられる山村さんのアニメーションを見ていると、世界は無数の震えの中にあると思う。
ひとつとして停止したものはなく、空気も、物質も、光も、何もかもが震えている。
あらゆる分子が振動しているようにである。
「このようにして、様々な気候、季節、音群、色彩の群れ、闇、光、元素群、養分、ざわめき、沈黙、運動、休止、それらすべてがわれわれの身体という機械そして魂にはたらきかけている」(ジャン=ジャック・ルソー『告白』クロード・シモンの引用による)
マイブリッジに想を得た新作も楽しみだが、まずは『カフカ田舎医者』を是非ご覧ください。