浦安にシナハンと『ロック母』

hogodou2007-06-14

昨日は、タナダユキ監督(『赤い文化住宅の初子』は、渋谷シネ・アミューズから渋谷シネ・ラ・セットに場所を移し、『16 [jyu-roku]』と二階建てで続映が決定)、脚本家Mとシナリオ・ハンティングで浦安に行く。
昼食を食べながらの作戦会議のあと、境川沿いに昔の浦安の海岸線を歩く。そこで地元の人から、「マリナーゼ」の存在を聞く。マリナーゼ…セレブのようなものらしい。シロガネーゼとかと同じか? 驚愕。別にどうでもいいのだが。
車で鉄鋼団地を走り、埋め立て地の果てへ。大学生の頃、こういう場所が好きで、大学にも行かずよく行った、と思い出し、ひとり盛り上がる。あの頃は、日野啓三の『夢の島』なんかを読んで、13号埋め立て地まで行った。見渡す限りの荒れ地。ゴミ処理のトラックが走るアスファルトの道が1本長くのびているだけ。飽かず、そんな場所に踞っていたのだ。この場所は、面白い。運河のような海を挟んで、対岸はディズニーランド。その奥にガスに煙った東京が見える。東京タワーがそそり立っているのも。
その後、「マリナーゼ」が生息すると言われる地域へ。高級かつ高層なマンションが林立し、豪華だと思われるホテルが立ち並ぶ。無理矢理リゾートという感じ。造成中のススキ原の向こうに、億ション。Mが、ここ終わってるな、と呟く。ほんとだ…。
更に車を走らせ、富津岬へ。岬に到着するまでの道がいい。夕焼けで赤く染まった空に、新日鉄の鉄工所の巨大な工場群が見える。こういう風景が好きだ。岬の突端まで走って、日が暮れる。タナダ監督の新作の登場人物が生きている場所の距離感が、このシナハンで生まれて来たような気がする。
しかし、「マリナーゼ」…「マリネーゼ」か? どっちでもいいが。
今日は、甲斐田祐輔組の問題点を制作Kと洗う。
甲斐田監督の脚本は、様々な想像を許す間口の広さがあり、Kと私の間でさえ、映像の中の空間のイメージが違う事が分かり、びっくり。スタッフの間でもかなり具体的な共通見解を作っておかなければと話し合う。
帰り際、ショックなことがあり気持ちが暗くなる。働けど働けど、だ。
角田光代の『ロック母』を読む。読みはじめたばかりだが、1992年に書かれた角田さんの処女作「ゆうべの神様」が面白い。「拙い」という認識があり、これまで単行本に収録されなかった、とあとがきにある。いやいや、拙いかもしれないが傑作なんじゃないだろうか?
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