脚本のこと、坂井真紀さんのことなど

hogodou2007-05-14

甲斐田祐輔監督と俳優Aの初顔合わせをする。
Aと役作りについて話し合う。オーソン・ウエルズが監督したカフカ原作『審判』の話になる。そうなのだ。甲斐田監督とは、よくこの映画の話をするのだが、今回、特にAにお願いしている役には、カフカ的な要素が多々あることに話しながら気付く。子供であるということ。巣穴ということ…。終わって、AやマネージャーのKさん、Uさん、共同プロデューサーのYと食事。映画のことをあれこれ。Aは、ゆっくりと言葉を選びながら喋る。まっすぐに見る。彼のこういうところが好きだ。
甲斐田組はオリジナルだが、『赤い文化住宅の初子』は松田洋子さんの原作がある。『初子』の脚本には、タナダ監督と時間をかけた。原作ものは難しい。特に漫画は、短編である場合、一話で完結しているため、それを単につなげても一本の映画にならないのだ。『初子』は、原作を大切にしようと話し合った。いたずらな改変をするくらいなら、オリジナルでやればいい。だから『初子』は一見原作のままに見えるかもしれない。しかし、それでは一本の映画にならないのだ。映画で起きていることは、原作のママに見えるが、その底に流れるものは映画オリジナルなものだ。そのキーポイントになったは、『赤毛のアン』の扱いと、初子のクラスの先生である田尻のキャラクター作りである。
それを見事に読み取ってくれたのが、坂井真紀さんだった。
田尻の役をお願いしたとき、脚本からキーポイントを読み取ってくれ、だからこの役をやりたい、と言ってくれた。タナダ監督と小躍りして喜んだのは、言うまでもない。僕たちは難しい闘いを選択したと思う。その闘いを正確に読んで、仲間になってくれたのが坂井さんだった。坂井さんは、今芝居をするのが楽しくて仕方がないと笑った。僕たちは、坂井さんに、どんなに感謝したかわからない。なんと素敵な女優さんか、と。
大山定一の『作家の歩みについて』を読む。ここで、彼の言う作家とは、トーマス・マンのことだ。
今日のiPod 生活向上委員会『ダンス・ダンス・ダンス
梅津和時さんたちのバンド。凄くいい。自転車に乗って、ひとりで盛り上がる。「シャッキング・トゥ・ミー」に、なぜか身につまされる思いがする。