負傷。

hogodou2007-04-28

午後、外出しようとしたら、突風が吹き抜け、自転車ごとコケる。負傷。
なんか、疲れてるんだな、と思う。
これはきっと神様が外出するなと言っているんだと、急遽外出を中止。家にこもって、企画書を書く。途中で、庄野英二の『少女裸像・猫とモラエス』を読む。「少女裸像」は、結核で夭折した画家、中村彝とモデルの少女相馬俊子に題材をとった、二人芝居の戯曲。最終幕、俊子との恋愛が引き裂かれ、大島を彷徨う中村彝が、「俊さん、穂高で、初めてあってから、今日で丸2年だ」と椿の花を蹴散らす幕切れで、なんとも言えない感動を覚える。椿の花を蹴散らしているのではなく、椿の花を狂った眼で空に撒きながら彷徨う中村彝の姿が眼に浮かぶ。「…花は散らず、舞はず、ふるのである。穏やかに静かに、音もなくふるのである。」これは、結城信一の「花ふる日」の一節。この小説も、初老の画家と若い女性の姿を描いた短編だった。画家である有田は、木蓮の花が滝のように降っている様を見る。「しかし、この滝には音がない。」「《この主題は、是非と描かなければならぬ…》そう珍しく汗ばんだ瞬間、少女の姿が浮かぶ。「《私、モデルになりませうか。ヌードでも、平気よ…》/《…ヌードでも、和服でも…。大切なのは「顔」と「眼」だよ…》」
有元利夫を思う。この画家も早くに亡くなった。この人の描く絵が、案外嫌いではない。弥生画廊が出版した『有元利夫追悼集』を引っ張りだす。
夜、タナダ監督と長電話。いろいろなことがある。
今日のiPod ゲンリヒ・ネイガウスシューマンクラリスレアーナ リスト/ピアノ協奏曲第2番