足立監督の旅券発行が拒否される

hogodou2007-04-16

足立正生監督の旅券発行が外務省に拒否された。
とりあえず、その事実だけ書いておこうと思う。監督は、映画『幽閉者』と共にドイツと韓国の映画祭から招待されていたのだが、パスポートがない。そこで弁護士を通じて、旅券の発行を外務省に申請していたのだが、正式に発行はできないという通達があったのだ。残念。監督は、この作品で海外の観客と意見を交換するのを楽しみにしていた…。
『16』の試写がある。出演もしてくれたタナダ監督や助監督の松倉、メイクの鈴木さん、録音の菊池さん、音楽の杉本さん、そのほかスタッフの顔が見える。先日は、見ることができなかった中別府もいる。タナダ監督は、映画は見たいけど、自分が出ているシーンは見たくないと苦笑い。そりゃ、そうだ。終わって、菊池さんが、傑作っぽいね、と笑う。傑作っぽいって、と、こっちも笑ってしまう。別れがたいスタッフたちは、飲み屋へ。こちらは、タナダ監督と新作の打ち合わせ。
帰ると、田村さんから宅急便で、青土社から出た『映画の授業』にも「at the edge of chaos」と題して収録された映画用語の解釈とその覚書が綴られたテキストが届いている。このテキストは、絶えず更新されているのだと田村さんは言っていた。届いたテキストは、4月に更新されたばかり。タイトルも「婆娑羅と歌舞かん」と変わっている。田村さんは関数だと思う。どのような関数なのかは分からない。田村正毅という関数の中に、シナリオというテキストや意図を入れると、ひとつの映像が生まれる。スリリングだ。田村正毅というブラックボックスの中は、どんな計算式になっているのか想像もつかないのだ。ぼくの映像は俳句ですよ、と田村さんは言う。そう言われて、短歌は七七の部分が情緒になりますね。俳句は、ものがあることや、あったものがないことを問題にしているような気がします、と話した。外山滋比古の修辞的残像のことを、このテキストでも田村さんは引いている。修辞的残像…コマとコマ、ショットとショット、シーンとシーンその間…「一コマの画の残像は次の闇になっている間に消えかかっていくけど同時に人はそこから発想を得て何かをイメージする」。このテキストをゆっくり読むことにする。
今日のiPod キース・ジャレット『FACING YOU』
こりゃ、すげぇや。