田村正毅さんのこと

hogodou2007-04-07

カメラマンの田村正毅さんと話をする。
田村さんとお話をするのは、ずいぶん久しぶりだ。田村さんは、青山真治監督の新作『SAD VACATION』の撮影を終えたばかり。電話をすると、何か予感がしたんですよ、と田村さんは笑う。かつて、女優のWのために書いた台本を田村さんが撮影してくれたことがある。わずか3日間の撮影だったが、楽しかった。作品のタイトルは、田村さんがつけてくれた。爽快なまでに田村関数が作動して、脚本が映像化されていく…。編集されて、映像がどんなふうに繋がるのか想像も出来なかった。一本の作品として完成した時、よく繋がりましたね、想像もつきませんでしたよ、と言うと、田村さんは、ねぇ、と言って笑った。あのときは、録音が菊池信之さん、照明は佐藤譲さんだった。営業中のクラブでの撮影の時、譲さんはバッテリーのライトを現場に持って来ていた。店内は当然暗い。譲さんがライトをつけるとお店からNGが出た。営業中だからライトは焚けないというのだ。譲さんが苦笑いをしてライトを消し、田村さんを見る。田村さんは、カメラを担いだまま頷く…。頷いても、店内は肉眼でも明らかに暗いのだ。あるのは、店内にディスプレイされている数台のモニターからの光。
ラッシュを見て驚いた。美しい画が撮れているのだ。モニターから洩れているわずかな光の中で踊るWの姿は、艶かしく、色っぽかった…。
譲さんは、数年前逝ってしまった。ジャズのかかるお通夜だった。
譲さんから連れて行かれるとは思わなかった。
田村さんにそう言うと、あのね、長生きするのも大変なんですよ、と田村さんは、また笑ったのだ。
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