兼常清佐『音楽巡礼』など

hogodou2007-02-25

『幽閉者』のレコ発LIVEにいらしていただいた皆さん、ありがとうございました。
大友良英さんとのサウンドトラックの仕事は、音楽が映画音楽という立場から半ば身を引き離し、ひとつの音楽として姿を現していく過程を感じる事ができて好きです。あの暗闇の中で、いろいろなことを考えてしまいました。大友さんの音楽を聞いていると、いつも最小の映画について考えてしまう。小さな映画。静かな。卵のような…。
新しい企画についての資料を、本棚から引っ張りだして読む。辻原登の小説『百合の心 黒髪 その他の短編』、パスカルキニャール『ローマのテラス』、ホーソンとベルティの2作を収録した『ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻』、デビッド・リンチの画集…。何がどこでどう影を落とすのかは分からない。急にデニス・ホッパーの映画が見たくなる。『バックトラック』『ホットスポット』そして『ラストムービー』。夜、渋谷のTSUTAYAの前で、偶然来日中のキム・キドク監督を紹介される。彼の手には家庭用のHDV。ここでは、いろんな人に会う。先週は、佐藤信介監督、安藤尋監督夫妻、甲斐田祐輔監督。夜、兼常清佐の『音楽巡礼』を拾い読み。これは1925年に出版された『音楽巡礼』を85年に杉本秀太郎の解説で復刻したもの。もとは後の夫人にヨーロッパから送った夥しい量の書簡である。
「お前はこの手紙は実に平凡に終わったという言うであろう。しかし私は“Memento mori”という古い言葉が平凡である以上には、決して平凡ではないつもりである」

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