赤瀬川原平さんのことなど

hogodou2007-02-27

もう2月も終わり。
タナダユキ監督の『赤い文化住宅の初子』のマスコミ試写が始まった。おおむね好評で、ほっとする。『16』の奥原浩志監督や『16』に出演してくれた宇野さんも見に来てくれる。奥原監督とは、『16』の仕上げに関して打ち合わせ。いろいろやらなければならない事は山積みになっているが、ひとつひとつ片付けて行くしかない。千里の道も一歩からである。様々な仕事の間に、新しい企画の資料を拾い読み。多和田葉子『飛魂』、小林エリカ空爆の日に会いましょう』、アンリ・ボーショー『オイディプスの旅』、ジョルジュ・ペレック『眠る男』、ル・クレジオ『大洪水』…。いつものことながら、具体的な事を調べたいのではない。ただ、しりとりのように読んでいく…。
明日は、打ち合わせに、『幽閉者』公開中のユーロスペースで、トークショーがある。足立正生監督と映画にも出ていただいた赤瀬川原平さんのトークショー。是非いらして下さい。
赤瀬川さんの小説が好きだ。『肌ざわり』などの胡桃子ものもいいが、野間文芸賞を獲っても文庫化すらされなかった『雪野』を偏愛している。もちろん尾辻克彦名義。「横浜では雪は見なかったな」と書かれた一行目から始まり、初めて足を踏み入れた画材屋で発せられる「おりょー、白でもいろいろあるんじゃのう」という驚きの声が象徴するように。さまざまな白の視覚と感触が紡ぎだす小説である。傑作。書きながら、画家の野見山暁治さんが書いた自伝的な小説『一本の線』のことを思い出したが、これはまたの機会に。

今日のiPod BRUCE SPRINGSTEEN『NEBRASKA』
ブルース・スプリングスティーンなんて聞かないのだが、これだけは繰り返し聞く。『赤い文化住宅の初子』の音楽を担当してくれた豊田道倫さんとも、打ち合わせの時このアルバムの話をしたのを思い出す。