幽閉者4

hogodou2007-01-19

年末にHOTWAXから頼まれていた石井聰亙監督についての文章を書き上げる。
深夜久しぶりに石井作品を堪能する。初期の『シャッフル』も好きだが、近作の『ELECTRIC DRAGON 80000V』に関して、個人的な発見がある。そうか。そうなのか。
連日、奥原組の準備。松倉、菊地という助監督の二人がこの小さな現場のために奮闘してくれているのを見て、ちょっと涙が出そうになる。今年中盤くらいに撮影したいと思っているT監督の新作に関して、出資をお願いしていた某社から返答。悪いが子供地味ていて笑ってしまう。仲介に入ってくれた人も笑い、T監督も笑う。こういう笑いはあまりいいものではない。菊地や松倉のような現場のスタッフたちのことを、彼らは、どう思っているんだろう?
『幽閉者』について、海外の映画祭のディレクターと話す。ありがたい話だ。この作品は、日本の国外で見たら、どんな感想が生まれるんだろう? とても興味がある。この映画を海外で上映したいと思っていた。
主演の田口さんと足立正生監督の話をしたのは、『青い車』の公開初日だった。それから、会うたびに「足立さんの新作はどうなの?」と心配してくれ、主演をお願いした時には熟考の後、「自分しかこの役をやる人間はいない」と引き受けてくれた。美術の磯見俊裕さんも「俺しかおらんな」と言い、制作進行の人選を相談した時、ラインプロデューサーの藤原恵美子は「それなら私がやる」と言った。ARATAさんは「どんな役でもいいから出演したい」と電話をくれた。もちろん手弁当に限りなく近いようなギャラで参加してくれたスタッフ、キャストの皆がそんな思いで20日間の現場を支えてくれていただろうし、それぞれが35年振りの空白を埋める足立監督の新作が、どのように姿を現していくのかを息をのむようにして見つめていたはずだ…。
『幽閉者』もまもなく公開されるし、タナダユキ監督と2年近く作業をして作り上げた『赤い文化住宅の初子』もまもなく完成する。

今日のiPod 渋谷毅石渡明廣『月の鳥』
敬愛する渋谷さんとギタリスト石渡明廣の新譜が届いていた。美しく柔らかい音楽。これを聞くことは、贅沢なのだと思う。久しぶりに小島信夫の『殉教 微笑』の文庫本を読む。小島さんも逝ってしまった。