マジカル・ミステリー・ツアー

hogodou2008-05-16

結局、今週はずっと眠い、そして腰が痛い…。
こうなると雨が止んで、晴れてくれたことが嬉しい。
昨日は、長い会議をした後で、日向朝子監督と新宿でこれまた長い打ち合わせ。うーん。新宿の某喫茶店で待ち合わせたのだが予想通り、入った途端知り合いばかり…。しかも、バラバラに打ち合わせ中。まず、山下敦弘監督に挨拶して、離れた席にいるECDさんに挨拶、それから製作のHに挨拶…。店員さんは、この人いつ席に座るんだろうと、お冷やを持ったまま困った顔である。
日向監督とは継続中の企画の話、新たな企画の話などなど。途中でお腹がすいたので中華料理屋に場所をかえ、映画を立ち上がることの困難について…。そうこうしているうちに、11時を過ぎる。日向監督の作品は、そのどこかフェミンで、どこかキャッチーでもある映像に騙されてはいけない(誰も騙しているわけではないが)。淡々としているように見えて、内包する熱量は高い。そして、おそらくものすごくロマンチスト…なのだと思う。短編作品の台本を読ませてもらうと、なぜかオクタビオ・パスの「波と暮らして」を思い出した。昔、サンリオ文庫の『エバは猫の中 ラテンアメリカ文学アンソロジー』に収録されていて、とても好きだった。波と同棲する男の話である。どこか日向監督のこの小品に「波と暮らして」のような匂いを嗅いだのだ…。
そして、相変わらずバリー・ギフォードの『アライズ・アンド・ウォーク』を読み続けている。
ギフォードのこの三部作に登場する人物たちは、どこかそれぞれの立場で「よい世界」を求めている。「よい世界」を求めてはいるが、その求めている「よい世界」が正解かどうかは、誰も分からない。そして、対立する二つの立場は、ある種短絡的に相手の死を求め、それ自身もまたあっさりと、突然死に至る。それは、まるでハイウェイを横切ろうとした動物が車に轢き殺されるような具合だ。ロード・キルという言葉の意味を知ったのは、写真家のアルバート・ワトソンのインタビューだったと思う。ワトソンは、そのようなタイトルの写真集を出そうとしていたのだと思うが、詳しいことは忘れてしまった。
ふと手にとった「本の雑誌」は、「本とロックが人生だ!」という特集を組んでいた。坪内祐三さんが、マイケル・ハーの『ディスパッチズ ヴェトナム特電』について書いている。この本は読んだことがない。マイケル・ハーは『地獄の黙示録』でナレーションを担当していたりするジャーナリストだという。
「わたしの頭のなかでは、くりかえし、がんがんと、ひどく不吉な言葉が鳴りひびいていた。それは数日前にはじめて聴いた歌の歌詞だった――魔法のように不思議な巡業(マジカル・ミステリー・ツアー)が、おまえたちを、連れ去ろうと待ちかまえている……連れ去りにやってくる……連れ去りに、連れ去りに……これはケサンの歌だ、とわたしはそのとき分かった。そして、いまもって、それはケサンの歌だ」
マイケル・ハーの頭を巡っていた歌は、もちろんビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」だ。
この本を読んでみたいと思った。
明日から、渋谷シネ・アミューズドキュメンタリー映画JOY DIVISION ジョイ・ディヴィジョン』の公開が始る。お時間があれば是非。