奥原浩志組

hogodou2007-02-06

久しぶりの更新です。
奥原浩志監督の新作は無事にクランイン。そして、クランクアップ。足立正生監督『幽閉者』の初日と、目の回るような忙しさと疲労の毎日で、あっと言う間に日々が過ぎて行く。奥原組は小さな現場ゆえ、毎日早朝から深夜まで現場に行く。初日に雪の残る長野で始まった撮影は、都内に戻り、レインボーブリッジを歩いて渡るという深夜から早朝にかけての撮影を経て、2/4にめでたくアップ。おかげで今でも6時半には目覚め、21時には眠くなる日々。健康的なのか、へとへとなのか…。
撮影初日、長野の御代田駅での撮影中、助監督の松倉がニヤニヤしながら近寄ってくる。
「悪いですけど、この作品いいですよ」
だから、全然悪くないって。
奥原監督は、今回ねばる。『青い車』の現場しか知らないけれど、格段に俳優へのアプローチが的確で具体的になっている。主演の東亜優が美しい。何度も阿佐ヶ谷の路地を走らされ、NGが出るたび「ちきしょー」と呟いて頑張っていた。柄本時生や、脇を固める小市慢太郎さん、諏訪太朗さん、徳井優さん、渡辺真起子さんたちがいい。奥原監督もいつになく伸び伸びとキツイ撮影を楽しんでいるのが伝わってくる。全てが愛おしくなるようなこの撮影現場が作り出す作品が、悪い作品になるわけがない。
監督は、今日から編集に入る。
スタッフたちは、次の作品へと散っていった。
早くに亡くなった照明技師さんのお通夜で、「私たちは現場でしか会えないんだから」と泣き崩れたWの姿を今でも何度も思い出す。映画の撮影と言う濃密な現場で出会ってしまった人間たちにとっては、「私たちは現場でしか会えないんだから」という言葉は重く響く。

今日のiPod 浜田真理子『夜も昼も』→二階堂和美二階堂和美のアルバム』
本を読んでいても眠くてすぐに眠ってしまう。それでも富士正晴の『贋・久坂葉子伝』。ふと読みたくなる本。虚無を愛し、抱きしめるような小説。